高血圧などの生活習慣病で、薬をお勧めすると、
「私の何が悪かったのでしょうか?」
と聞かれることがあります。
とても自然な質問です。
でも、私はこの質問をされると、いつも一瞬、どう答えようか考えてしまいます。
なぜなら、答えは「何かが悪かったから」ではないからです。
そこで、いつも「そもそも……」と長い説明を始めることになります。
今回は、その話をできるだけ簡単にまとめてみます。
そもそも、何かが悪かったのでしょうか?
まず、ここが一番大切です。
生活習慣病と診断されたからといって、
「あなたの何かが悪かった」
ということではありません。
前回のブログで、「未病」という考え方を紹介しました。
生活習慣病の中には、まだ自覚症状がなく、動脈硬化などの大きな病気になる前の段階があります。
この段階では、
「病気になったから治療する」というより、「病気にならないように予防する」
という考え方が大切です。
つまり、薬を飲むことになったからといって、
「何か悪いことをしたから薬を飲む」
ということではありません。
悪くならないように、今のうちから予防している。
そう考えていただきたいのです。
そもそも、体質と環境の組み合わせなのです
もう一つ、大切なことがあります。
生活習慣病は、
「生きていくために必要な体の仕組みが、今の環境では困った方向に働いてしまう」
と考えることもできます。
少し分かりにくいので、ジーンズの話で考えてみましょう。
海外で作られたジーンズを買ったら、裾が長すぎる。
そこで裾上げをすると、
「こんなに生地を切るの?」
と驚くほど切り取ることがあります。
でも、それは私の足が悪いからでも、ジーンズが悪いからでもありません。
私の足の長さと、ジーンズの裾の長さが合っていなかっただけです。
だったら、裾を合わせればいい。
生活習慣病も、少し似ています。
私たちの体には、生きていくためのさまざまな仕組みがあります。
ところが、食べ物が豊富で、体をあまり動かさなくても生活できる現在の環境では、その仕組みがかえって困った方向に働くことがあります。
そのときには、
- 食事を見直す
- 運動する
- 体重を調整する
- 必要に応じて薬を使う
などして、体と環境のバランスを調整することが大切になります。
薬も、そのための方法の一つです。
そもそも、「悪いもの」は人によって違う?
そして、もう一つ難しい問題があります。
生活習慣病の原因として、
「塩分が多い」
「タバコを吸う」
「食べ過ぎる」
「ストレスが多い」
などがよく言われます。
もちろん、これらが健康に影響することは分かっています。
でも、
「これが悪いから、あなたが病気になった」
と簡単に言えるわけではありません。
同じものを食べても、同じ生活をしても、体への影響は人によって違います。
つまり、
多くの人にとって「悪い」とされることが、その人にとってどの程度影響するのかは、同じではない。
ここが生活習慣病を考える難しいところです。
では、
「塩分はどのくらいならいいの?」
「私は何を気をつければいいの?」
という疑問が出てくると思います。
実は、この「人によって違う」というところが、とても重要なのです。
次回は、
「体に悪いものは、本当にすべての人に悪いのか?」
という少し難しい話を、もう少し分かりやすく考えてみたいと思います。


コメント