消せない「錯覚」と、上手に付き合う体の仕組み

高血圧

前回は、サッカーのオフサイド判定を例に、人間の脳には「未来を予測する力」があり、その優れた能力が時には「錯覚」を生むことをお話ししました。

では、この錯覚にはどう対処すればよいのでしょうか。

答えは、とてもシンプルです。

「錯覚をなくそうとしないこと」です。

錯覚は脳の欠点ではありません

オフサイド判定でも、審判の方々は錯覚そのものを消そうとしているわけではありません。

実際のプレーを映像で何度も確認し、

「自分の目には、このように見えやすい」

ということを学習しながら、判定の精度を高めています。

つまり、

「錯覚をなくす」のではなく、 「錯覚とうまく付き合う」。

これが大切なのです。

高血圧も、実は同じです

実は、高血圧などの生活習慣病もこれとよく似ています。

私たちの体には、長い進化の中で身につけた「生きるための仕組み」があります。

例えば、

  • 血圧を上げて体を守る仕組み
  • 塩分やエネルギーを体にためる仕組み

これらは、食べ物が少なく、危険の多かった時代には、命を守るために欠かせない能力でした。

しかし現代は、食べ物が豊富で、運動不足になりやすく、ストレスも多い時代です。

そのため、昔は味方だった体の仕組みが、高血圧や糖尿病の原因になることがあります。

「悪い仕組み」ではありません

では、どうすればよいのでしょうか。

ここでも考え方は同じです。

体の仕組みを「悪いもの」と考えて、なくそうとすることではありません。

自分の体の特徴を知り、困った部分が出ないように調整すること。

それが大切です。

生活習慣を見直すことで十分コントロールできる方もいます。

一方で、体質によっては薬の力を借りた方がよい方もいます。

薬は「負け」ではありません

「薬を飲み始めたら健康ではない。」

そのように考えておられる方も少なくありません。

でも、そうではありません。

メガネをかけて視力を調整するように、血圧の薬も体のバランスを整えるための一つの方法です。

薬を飲んでいること自体が問題なのではありません。

本当に大切なのは…

大切なのは、

「薬を飲んでいるかどうか」

ではなく、

「血圧や血糖などの異常が、どのくらい続いているか」

です。

高血圧などの生活習慣病は、突き詰めると血管の老化を進める病気です。

だからこそ、検査で異常を指摘されたら、そのまま放置しないことが大切です。

自分の体の特徴を知り、生活習慣を見直し、必要なときには薬の力も借りながら、上手に付き合っていく。

それが、血管を守り、将来の健康につながる一番の近道だと私は考えています。

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