診察で薬をおすすめすると、
「薬を飲み始めたら、一生飲み続けなければならないのでしょう?」
と質問されることがあります。
確かに、そのように感じる方は少なくありません。
今回は、この誤解についてお話ししたいと思います。
薬は最終手段なのでしょうか?
多くの方は、
「薬は最後の切り札」
というイメージをお持ちではないでしょうか。
例えば、肺炎などの感染症では抗生物質が劇的な効果を示すことがあります。
また、入院すると、病気が良くなるにつれて点滴や注射が減り、すべて外れると退院になります。
そのため、
「薬を飲まなくなった=病気が治った」
というイメージを持つのは、とても自然なことです。
しかし、生活習慣病では少し考え方が違います。
生活習慣病の薬は「予防の道具」です
高血圧や糖尿病の薬は、症状を取るためというより、
将来の心筋梗塞や脳梗塞、動脈硬化を防ぐため
に使うことが多い薬です。
つまり、「予防」のための薬なのです。
もちろん、薬だけが唯一の方法ではありません。
例えば、
- 減塩を続けたら血圧が正常になった。
- 5kg体重が減ったら血糖値が改善した。
このような方もたくさんおられます。
一方で、
生活習慣を一生懸命改善しても十分な効果が出ず、薬を始めたら短期間で検査値が改善した方も少なくありません。
一番効果がある方法は人それぞれ
生活習慣病の予防には、
- 食事の改善
- 運動
- 体重管理
- 禁煙
- 薬
など、いろいろな方法があります。
どれが最も効果的かは、人それぞれ違います。
薬も、その中の一つの選択肢です。
ただ、薬には比較的早く効果が現れるという特徴があります。
そのため、血管への負担を早く減らせるという大きなメリットがあります。
目標は「薬をやめること」ではありません
生活習慣病で本当に大切なのは、
「薬を飲むかどうか」
ではありません。
大切なのは、
血圧や血糖値、コレステロールなどの検査値を良い状態に保ち、血管を守ることです。
生活習慣の改善だけで十分な方もいます。
薬を使った方が良い方もいます。
また、生活習慣が改善して薬を減らしたり、やめられたりする方もおられます。
反対に、無理な食事制限や過度な運動を続けようとして長続きせず、元に戻ってしまうことも少なくありません。
だからこそ、
「薬を飲まないこと」を目標にするのではなく、
「自分に合った方法で検査値を良い状態に保つこと」
を目標にしていただきたいと思います。
それが、10年後、20年後の健康につながる一番大切な予防なのです。


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