ときどきどきどき(1)――「ドキドキ」はどう伝えればいい?

不整脈

本当に暑い日が続きますね。

昼も夜も、エアコンが止まると汗が一気に出てきます。

しつこいようですが、暑い時期は脱水と睡眠不足にくれぐれもお気をつけください。

さて、当院は「循環器内科」を標榜していますので、「不整脈が心配です」と受診される方も少なくありません。

これまでのブログを見返してみると、そういえば「不整脈」についてほとんど書いていませんでした。

そこで今回から、少し「不整脈」のお話をしたいと思います。


「時々、ドキドキするんです」

高血圧や糖尿病などで受診される方と違い、不整脈で受診される方は、何らかの自覚症状があることが多いです。

その代表的な訴えが、

「時々、ドキドキするんです」

です。

私はこれを心の中で、

「ときどきどきどき」

と呼んでいます。

ところが、ここで、

「どんなドキドキですか?」

と聞いても、なかなか説明するのは難しいものです。

「ドクン、ドクンという感じ」

「一瞬、心臓が止まったような感じ」

「急にバクバクする」

「胃が口から飛び出してきそう」

など、人によって表現はさまざまです。

それも当然です。

実際に心臓が変な動きをしている時は、冷静に観察する余裕などありませんからね。


不整脈は「出ている時」が勝負

不整脈の診断で難しいのは、症状が止まってしまうと、何も異常が見つからないことがあるということです。

病院に来た時には、

「今は何ともありません」

という状態になっていることも珍しくありません。

心電図を撮っても正常。

その他の検査をしても、

「心臓に大きな異常はありません」

と言われる。

でも、ご本人は確かに「ドキドキ」を感じている。

これは決して珍しいことではありません。

だからこそ、不整脈は

「出ている時が勝負」

なのです。

もちろん、症状が出ている時に病院で心電図を記録できれば、それが一番分かりやすい方法です。

しかし、いつ起こるか分からないのが不整脈の難しいところです。


「ドキドキしたら」何を記録すればいい?

もし次に「ドキドキ」が起こったら、慌ててしまうのは当然ですが、できる範囲で次のことを確認してみてください。

① いつ起こったか

「午後3時ごろ」など、時間を記録します。

② どのくらい続いたか

数秒なのか、数分なのか、それ以上なのか。

③ 脈拍はどうだったか

可能なら脈拍数も記録してみましょう。

④ 血圧はどうだったか

家庭血圧を測っている方なら、血圧も参考になります。

⑤ 「ドキドキ」はどんな感じだったか

「ドクンと一回だけ」

「一定の間隔でバクバク」

「バラバラな感じ」

など、うまく説明できなくても構いません。


「うまく説明できない」でも大丈夫

不整脈の症状は、言葉で説明するのが難しいものです。

ですから、

「うまく説明しなければ」

と考える必要はありません。

「何時ごろ、どのくらい続いて、脈拍や血圧がどうだったか」

これだけでも、診断の大きな手がかりになります。

最近では、スマートウォッチなどで脈拍を記録できる場合もあります。

記録が残っていれば、診察の時に役立つことがあります。


ただし、「ドキドキ」だけなら慌てなくてもいい、という意味ではありません

ここは大切なところです。

「ドキドキしたけれど、記録しておけば大丈夫」という意味ではありません。

胸の痛み、強い息苦しさ、意識が遠のく、実際に意識を失う、立っていられないほどの症状などがある場合には、記録よりも受診を優先してください。

特に、意識を失うような症状は軽く考えないことが大切です。


「ドキドキ」を冷静に記録する

「心臓が止まってしまいそう」

「心臓が飛び出しそう」

そんな症状が出た時に、冷静になれと言われても難しいですよね。

でも、不整脈は症状が出ている時の情報が診断の大きな手がかりになります。

だから、

「ドキドキした!」

で終わらせず、

「いつ? どのくらい? 脈は? 血圧は?」

と少しだけ観察してみてください。

それが、不整脈の診断と治療への大切な第一歩になることがあります。

次回は、「ドキドキ」と一言で言っても、実際にはどんな不整脈があるのかについてお話ししたいと思います。

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